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skit:8

Posted by flour



センと魔法商店街8


◆◇◆


魔法道具店で買った便箋には可愛いらしい猫が描かれている。
このちいさな猫。封を開ければニャーンと鳴き、紙から起き上がると、
便箋がひろげられている間、おとなしく机に座っているのだ。

「ええと、まずはお手紙と転影の御礼、そして灯台完成の祝辞であります…」

しばらく部屋にはペンの音だけが響く。
すこし涼しくなったため、今日は窓も閉めてある。
蝉が飛び込んでくる心配はなく、ランプの火もあまり揺らぐことはない。

途中、たいへん悩んだ。天井を見上げた。

“転影に写っているもう一人は誰ですか”

――訊きたい。だが、この大陸にいるのならば。
また古い写真を持ち上げた。よく似た違う獣人かもしれない。いや、それでも。

「……会わねばなりませぬ」

ぜひ現地へ行って灯台をこの目で見たい、と綴り、友人の秋の予定を尋ねることにした。
魔法の猫は時折尻尾を揺らし、金色の目でじっとこちらを見ている。

(手紙を書き終えると便箋にスッと滑りこみ、絵に戻った)








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