old home

skit:10

Posted by flour




センと魔法商店街10


◆◇◆


おかみには、良いニュースだけを伝えようと決めていた。
センの身の上話をして、わざわざ悲しませたくはなかった。
収穫祭の話、灯台の話、そして過去に親代わりであった人と再会し、色々と思い出すことができたのだ、と…

「ち、父上ではありませぬがセンの保護者であります。近々挨拶に来られます。ちちちちちうえではありませぬが」

真面目な顔でじっ…と話を聞いていたおかみ。センの表情を伺いつつ――

「……その人も猫かい?」

「熊であります!!」

体を揺すって笑いだした。
笑い声に緊張が溶ける。こちらもつられて笑ってしまう。
わかった、と言って席を立ち、センの肩に手を置いた。

「戻ってきてくれて嬉しいよ、セン。
……さあ、手を貸しておくれ。毎年この時期はハロウィーン用の個包装が大変なんだよ」

「もちろんであります!!」

席を跳び降りておかみの後を追う。
おかみはきっと、たくさんの質問を飲み込んだ。…センが嘘をつかなくて良いように。

「あっ、ハロウィーンの商店街は何をやるのでありますか?仮装行列でありますか?!」

まだまだ、センの新しい日常は始まったばかり。
ここでやれることがあるはずと、そう信じて。

そう、“走ってさえいれば――…”



(黒猫と白熊と黒犬が並んで描かれている)











スポンサーサイト